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つまり地下道でホカホカの肉まんが蒸しあがるならば電車を待つ間にジュワッと香ばしい餃子が何枚も焼きあがるということだ。誰もかれもが地下道からホームにあがるまでにじんわり汗を噴き出しているわけで、仕上がりは肉汁だっぷりの羽根つき餃子。もちろん、食べる分にはメッチャ美味しい羽根つき餃子だが、このように焼かれているのかと思うと餃子の気持ちがよくわかる。餃子可愛いや可愛いや餃子。
(ヤバい、暑さで脳が溶け始めている)
正常な思考を奪われる。池袋から乗車する山手線は埼京線に次ぐ混雑。一回見送らないと乗車できないのが常。
山手線に乗車できれば涼しいわけでもない。二度言うが、山手線内回りは埼京線に次ぐ混雑だからだ。
顔がムンクの叫びになってしまう埼京線に比べたら山手線内回りには隙間はあるかもしれないけれど、他にはない混雑の醍醐味がある。
(足がへんな角度に曲がる)
巨大スーツケースである。
東京観光するなら山手線をグルグルすれば間違いはない。外国人観光客のみなさんがいちばん利用する電車ではなかろうか。
(この暑さは外国の人たちもびっくりだろうな、命にかかわるというのは今年がはじめてだけど)
インターナショナルに日本の暑さを共有できる。それが山手線。
新宿に到着すればベルトコンベアーに乗せられたように都庁方面の地下道へ向かう。また蒸し器だ。小籠包だ。
「ほーら! どうしたどうしたお前たち! 世界の終りみたいだぞ!」
今度はなんだ。
アロハシャツ短パンビーチサンダル。新宿オフィス街にこんなにも不釣り合いな格好はないだろう。
「足だけは早いな! アッハッハー!」
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