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夏小僧
タイトル:夏小僧
書いた人:甘らかん(かんらかん 暑いのは苦手ですが寒いのも苦手です)
子供の時分、大分に住む叔父さんの家に遊びに行った夏休みのことだ。
「こんにちわーっ!」
日陰のない水田の道を歩いていたら半ズボンに白いランニング、虫かごを肩からかけて網を持った少年に声をかけられた。
「だれ?」
というまでに相当の時間を要した。いくらアニメもゴールデンタイムに放送するのが当たり前の頃とはいえ、その姿はノスタルジーがすぎる。
「ぼくは夏小僧だよ! 夏とともにやって来るんだ!」
どこの子供向け漫画雑誌から飛び出してきたんだよ。と子供心に思ったものだ。指で鼻をこするな。
「夏がきたぞ! 一緒に遊ぼう!」
「やなこったーっ!」
全速力で逃げた。
じっとしていても汗がにじみ出てくる。蝉がうるさい昼下がりだった。
スマホからアラーム音。
「はっ!」
熱帯夜の睡眠を守るため付けっぱなしにしているエアコンが冷気を吐き出す音がする。
「夢……でよかった」
そもそも、あれが現実だったのか暑さにやられての幻覚だったのか、よく見るただの悪夢なのか、そもそも大分に叔父がいるのかもわからな……いや、叔父はいる。
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