6人が本棚に入れています
本棚に追加
真夜中の定義
真夜中と言われて、あなたは何時から何時を思い浮かべるだろうか。
私には明確な基準がある。
ある程度の夜更かしが許されるようになった高校生の頃、とある出来事があった。
部屋で勉強している間、聞き覚えのない声が聞こえたのだ。時刻は深夜23時。
「今日も変なもの使っているのね」
突然知らない声が部屋に響いたときの私の驚きようは、誰にも想像できないだろう。不審者が部屋に入り込んでいるのではないか、変なものとはなんのことか。パニックになってどうにかなりそうだった。
「何を慌てているのかしら。まったく、これだから人間なんて見てらんないのよ」
声にかぶさるように、かすかに聞こえた「にゃあ」という猫の鳴き声。
まさかと思い、部屋の中で姿を探すと、部屋にいつの間に入り込んでいたのか、飼い猫のロマンが本棚の上に鎮座していたのだ。
「え、まさかロマンの声?」
「あら? 言葉が通じるわね。どういうことかしら」
「嘘、嘘、夢見てるのかな!? 疲れてるのかな!?」
慌てる私をよそに、ロマンは飄々とした態度である。
「聴こえるようになったんなら便利ね。ねえちょっと、私お腹すいたの。夏美、おやつ持ってきてよ。」
最初のコメントを投稿しよう!