真夜中の定義

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真夜中の定義

 真夜中と言われて、あなたは何時から何時を思い浮かべるだろうか。  私には明確な基準がある。  ある程度の夜更かしが許されるようになった高校生の頃、とある出来事があった。  部屋で勉強している間、聞き覚えのない声が聞こえたのだ。時刻は深夜23時。 「今日も変なもの使っているのね」  突然知らない声が部屋に響いたときの私の驚きようは、誰にも想像できないだろう。不審者が部屋に入り込んでいるのではないか、変なものとはなんのことか。パニックになってどうにかなりそうだった。 「何を慌てているのかしら。まったく、これだから人間なんて見てらんないのよ」  声にかぶさるように、かすかに聞こえた「にゃあ」という猫の鳴き声。  まさかと思い、部屋の中で姿を探すと、部屋にいつの間に入り込んでいたのか、飼い猫のロマンが本棚の上に鎮座していたのだ。 「え、まさかロマンの声?」 「あら? 言葉が通じるわね。どういうことかしら」 「嘘、嘘、夢見てるのかな!? 疲れてるのかな!?」 慌てる私をよそに、ロマンは飄々とした態度である。 「聴こえるようになったんなら便利ね。ねえちょっと、私お腹すいたの。夏美、おやつ持ってきてよ。」
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