1人が本棚に入れています
本棚に追加
その男達は何もないところから、忽然と沸いて出た。
今や宇宙船でのワープのみならず、ポイントを定めれば人間だけをどこへでも送り込めるようになっていた。
厳密に言うと彼等は「人間」ではない。だが彼等の本来の言葉を話すことの出来ないこちら側としては彼等を「人間」と呼ぶしかなかった。もしくは「フィフス星人」か。
ともあれその星に降り立った三人の男は、少年、青年、男性、と呼び分けるのにようどいい身姿をしていたので、便宜上、そう呼ぶことにしよう。
男性が言った。
「それでは各自、調査を始めるように。この星の時間にして三時間後、再度ここで」
男性はそれだけ言うと、他の二人のことなどもう忘れたのように、元は切り株だったと思われる石の上に座して、にやにやと一人悠然と寛ぎ始めた。
それを見て青年は、「了解しました」とだけ男に言い、少年には行くぞと言い、その場から歩き始めた。寛ぐ男に少年は後ろ髪を引かれるような思いを抱えながらも、自身の「先輩」に当たる人物の言葉に従い、青年の後を追って歩き出した。
少年は男性の姿が見えなくなった頃合いを見て、青年に問うた。
「いつもこんな感じなんですか?」
「こんな感じ、とは?」
「教官は一緒に歩いて調べたりはしないんですかって意味です」
「そんなこと」
表情の変化に乏しい青年としては、薄く笑ったつもりだったが、さしたる付き合いのない少年には青年のその変化を感じ取ることは出来なかった。
「どうせここは死に惑星だ。最後の確認、など形だけのこと。死する惑星にはやはり再建の余地はなかった、そう上層部に伝えるだけだ」
「なら何故、あなたは探索を始めたのですか」
「それが上官の命令だからだ」
最初のコメントを投稿しよう!