例えば、砕氷船のような

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 彼の無邪気な笑顔を見上げていると胸が苦しくなる。好きです、と言ってしまいたくて、でも私は言わなかった。代わりに右手を出して握手する。 「よろしく、稲生くん」 「よろしく、水島」  そして笑い合った。  怪異だらけの場所でも、砕氷船のように進んでいく稲生くんの姿に私は憧れていた。その恋はまだ実ってないけど、手に入れたものもある。  ただ遠くから見ているだけの憧れじゃなくて、本物の絆を育てていこうと、そう思った。
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