七月一日の人

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「結局、半分はオカルトネタになるんだよね…」  刷り上がった文芸誌をパラパラと捲りながら、青木部長がため息をついた。 「まず、レイちゃんが実体験しか書けないってのが、問題なんじゃない?」  井上先輩が、満足そうに笑っている。先輩は、ほんとにホラー好きなようだ。 「レイちゃーん!最近、気になる人って、誰かいる?」  内山先輩が、にこやかに聞いてくる。内山先輩の声に反応して、真愛までそっちを向いた。あれ以来、内山先輩と真愛は、すごく仲良くなった。時々、内緒話をしている姿を見かけるから、腐女子仲間なのではと、密かに疑っている。 「そうですね…」  私は思い出しながら、外に目を向けた。 「そういえば、学校の近くで時々見かける男性で、たくさんの猫を連れてる人がいるんですよね…」 「猫使い?猫を散歩させてるとか?」 「猫好きなんだろうなーて思うんですけど、最近、増えに増えて、十匹を軽く超えちゃって。放っておいていいのか、ちょっと気になるような…」  そこでみんなの顔が曇った。 「えっと、レイちゃん。その猫って…」 「生きて…ない?」 「そりゃ、生きてる猫な訳ないじゃないですか!常に後ろに憑けて歩いてるんですよ」  先輩や真愛に問い詰められ、分かる限りのことを詳しく話していると、もしかしたらその男性は、猫を虐待して殺しているのかもしれないという話になり、再び、真愛と調査に向かうことになってしまった。
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