向日葵畑で君と

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向日葵畑で君と

 蝉の声が聞こえる。  早朝、まだ気温の上がり切らない時間に、僕はいつも通り家を出る。  歩き始めて十分ほど、角を曲がると遠くに一面の黄色が見え始める。  僕の待ち合わせ相手は、その黄色の中にある、散歩道の入口に立っている。  近付いていくと、僕の足音に気が付いたのか、花を見ていた彼女は僕の方を振り返る。  「おはよう、ナオ君」  そう、自分の周りを囲う向日葵のような笑顔で、彼女が言う。  「おはよう、ひまり」  そう返しながら、僕らは今日も並んで散歩道を歩き始める。  今日は八月三十一日。夏休み最後の日だ。
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