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Ⅱ
階段を降りる。
汗をかいた足の裏に、
湿った木の感触がいっそうべたつく感じだ。
リビングは誰もいない。
冷蔵庫の中にはすぐに食べられそうなものが何もない。
ちぇ、コンビニ行くかあ。
テーブルを見ると、葉書が一枚。
俺にだ。
サインペンで書いた細い、きれいな丁寧な字。
どき。
差出人は加賀美さと子。
かっ…加賀美さんだ!
どき、どき、どき…どきどきどきっ。
鼓動の響きに合わせて顔がほてってくる。
誰もいなくてよかった。
ほっそりして、横顔が美人で、目立たない娘。
俺なんかが話しかけたら、
泣いて壊れちゃいそうな華奢な娘。
スカートから伸びた脚がきれいな娘。
ブレザーを脱いだ時、
チェックのネクタイが胸の間に沈んでいた。
加賀美さん……。
うわ、俺なに考えてんだ。
葉書一枚で、
ちょっといいなと思っていた娘が、
すごく好きな娘に激変した。
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