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Ⅳ
ミトシに電話する。
「あのな、加賀美さんて、連絡先知ってる?」
「加賀美さん?あー…たしか引っ越したぞ
学校では言ってなかったけど。
家近いから引っ越し挨拶のタオルもらった。
転校するぞ。なんか用でもあんの?」
「え!?」
葉書の住所は、小遣いをしばらく貯めたくらいじゃ
とても行けない県名から始まっていた。
それじゃ挨拶に全員に葉書を出したのかと思い、
聞いてみる。
「お前、葉書もらった?」
「え、誰から。」
もしかして俺にだけ!?
やったーーーっ!!
でも、でもだなあ、
花火行けねぇ…。
夏ってこれがあるんだ。
春は出会いの季節、夏は夏休み、
そしてその間に転校…
やられたー。
どっと暑さが覆い被さって来る。汗だくだ。
シャワーだ、シャワー浴びよう。
汗とかぜんぶ、流そ…。
夏休みが終わり、俳句が教室の後ろに張り出された。
中二病患者たちの駄句が並ぶ。
イヤミな教師が、いちいち題までつけてくれた。
「花火」「宿題」「ひまわり」「恋」…
げ。「蚊やり豚」まである。
俺渾身の一句は「恋」ではなく「ホラー」に分類された。
夏休みには
魔が住むぞ
彼女消ゆ
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