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安田先生は、僕の頭を人差し指でコンコンとたたいて、
「大野は頭が固いねぇ」
と、眉毛を動かすだけでバカにしてきた。
僕がムッとして睨むと、安田先生はそんな僕を無視して美術室の隣にある、準備室へと姿を消した。
ため息をつきたいのはこっちの方だ。
桜はどう見ても桃色だろう。
僕は自分の席に戻って、筆を水入れに適当に投げ入れた。
若くて生徒に理解がある安田先生は好きだ。
僕のクラスには、安田先生のファンクラブがある、とも聞いたことがある。
ただ、安田先生の質問好きには困る。
そして自分の納得のいかない答えだと、はぁ、と小さくため息をつくのだ。
安田先生の中には、質問に対する明確な答えがあって、僕の答えは大概外れていた。
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