そして、二人は再会する

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 そういえば自分も、本城に前ほど強烈な嫉妬を抱かなくなった。実際彼と接して、彼の実力と人間性を知るにつれて意識が変わった。何よりも、あの時彼から借りた楽器でフランクのソナタを演奏した時の充実感と、新たに生まれた自信のおかげで彼をまっすぐに見られるようになった。彼に追いついて切磋琢磨できる実力を身に付けたい、と… 「あれ、俺ら二人で総合十一位だってよ。クッソ、惜しい」 「へえ」  二人で、か…  煌と躬弦は雑誌を覗き込みながら、二人揃って表情を緩めた。  二人で同じ志と目標を持って… 「来年はもっと上にいくよ。アルバムも出すしツアーもあるから」 「…おう。そーだな」
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