第5章

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「そもそも!私の所に杏樹を連れてきたのは貴方でしょ?勝手に私の休日つぶす原因作っておいて、ごちゃごちゃ言わないでよ!私は師匠や憲一さんの都合の良い人形じゃない!」 「でも、母さんが・・・」 何か言おうとする憲一さん、それよりも先に、私は言い放った。 「じゃ、師匠に伝えて!今日は約束しちゃったから行ってくる!これ以上私のプライベートに関与しないで!やるべきことはちゃんとやっています!」 あとで師匠にも、直接言おう。 師匠の伝言を、憲一さんに頼むのは、やめて欲しい。 私に用があるのなら、言いたいことがあるのなら、ちゃんと直接私に伝えてほしい! 秋のコンサートの準備も、曲のレッスンだって、ちゃんと進めている。 いくら師匠でも、とやかく言われる筋合いはない。 憲一さんの伝言じゃ、埒がない。 「・・・帰ってくれる?帰って今すぐ師匠につたえてきて!もうすぐ杏樹がうちに来るの」 「でも・・・」  さらに何か言おうとする彼に、私は最後の言葉を叩き付けた。 「出て行って!どうせあなたは師匠のパシリなんでしょ?パシリなら、パシリらしく、今すぐ伝えてきてよっ! それとも何?師匠の私宛の伝言は無感情に伝える癖に!私の、師匠宛の伝言は伝えられないっていうの? パシリのくせに!」  私の言葉に、憲一さんは、呆然と立ち尽くしたままだった。     
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