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「そもそも!私の所に杏樹を連れてきたのは貴方でしょ?勝手に私の休日つぶす原因作っておいて、ごちゃごちゃ言わないでよ!私は師匠や憲一さんの都合の良い人形じゃない!」
「でも、母さんが・・・」
何か言おうとする憲一さん、それよりも先に、私は言い放った。
「じゃ、師匠に伝えて!今日は約束しちゃったから行ってくる!これ以上私のプライベートに関与しないで!やるべきことはちゃんとやっています!」
あとで師匠にも、直接言おう。
師匠の伝言を、憲一さんに頼むのは、やめて欲しい。
私に用があるのなら、言いたいことがあるのなら、ちゃんと直接私に伝えてほしい!
秋のコンサートの準備も、曲のレッスンだって、ちゃんと進めている。
いくら師匠でも、とやかく言われる筋合いはない。
憲一さんの伝言じゃ、埒がない。
「・・・帰ってくれる?帰って今すぐ師匠につたえてきて!もうすぐ杏樹がうちに来るの」
「でも・・・」
さらに何か言おうとする彼に、私は最後の言葉を叩き付けた。
「出て行って!どうせあなたは師匠のパシリなんでしょ?パシリなら、パシリらしく、今すぐ伝えてきてよっ!
それとも何?師匠の私宛の伝言は無感情に伝える癖に!私の、師匠宛の伝言は伝えられないっていうの?
パシリのくせに!」
私の言葉に、憲一さんは、呆然と立ち尽くしたままだった。
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