16人が本棚に入れています
本棚に追加
「杏樹のレッスン頼んだ俺たちがこんなこと言うのも変だけど・・・
あんまり杏樹に関わるなよ?」
突然、憲一さんは不思議なことを言った。
憲一さんの顔を見ると、憲一さんは少しだけ、不機嫌そうな顔をしていた。
「最近の桜、レッスン以外に杏樹に関わりすぎだぞ。ピアノ教師の域を超えている」
“ ピアノ教師の域を超えている?”
それは私にも自覚はあった。
先日の熱中症の時の事とか、プールの付き添いの事を指しているのだろうか?それとも、夏の間とはいえ、彼女のお昼を用意して一緒に食べていることだろうか?
師匠はいったいどこで、そんなことを知ったんだろう?
この夏の出来事・・・たとえば杏樹の熱中症の事とか、お昼を一緒に食べていることとかは、師匠には話していない。せいぜい、杏樹のお母さんに報告したくらいだ。
それを師匠と憲一さんが知っている、という事は。杏樹の母から憲一さん経由で、師匠が知ったのだろう。
「しょうがないでしょ?こっちにだって色々事情があったんだから」
言い訳のようにそういったけど、憲一さんの不機嫌は収まらないようだった。
「・・・母さんが心配してたぞ。お前がレッスン疎かにして杏樹と夏休み満喫してるって、さ。
そんな暇があったら、自分のレッスンしろよ。
最初のコメントを投稿しよう!