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今も、正直、子供は苦手だ。
でも、杏樹は嫌いじゃない・・・
嫌いどころか・・・
嫌いどころか・・・
「・・・わかった。夕方、うちにおいで。一緒にお祭りに行こう」
私は、心に出かけたフレーズを表に出すこともできずに、そう言うと
「本当? わーい!先生、ありがとう!!!」
杏樹は、嬉しそうな満面の笑みで、私にそう言った。その笑みは、子供らしい元気いっぱいな笑みだった。
「それでね・・・先生にお願いがあるのっ!」
杏樹は、珍しく真剣な表情で、私の顔を覗き込み・・・私にその“お願い”とやらを耳打ちした・・・・
「え!」
その“お願い事”を聞いた途端、私はびっくりして大声をあげてしまった。
「駄目? 先生、持ってない?」
「いや、持ってるよ!持ってるけど・・・」
「だって、せっかくのお祭りなんだよ!」
「いつものじゃダメなの?」
「ダメ!」
しばらくこんな押し問答が続いた。
杏樹のお願い事とは。
“浴衣が着たい”
“桜先生も、浴衣を着てきて”
という事だった。
正直、浴衣なんぞ、殆ど着た事がない。
いや、持っているわけだから、着た事は何度かある。子供の頃だったら、お祭りで少しは着たことがある。
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