決行※

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「いつまでもしおらしくしてると思ったら大間違いよ」 私はへたりこんだ体で彼の足元を狙ってタックルをした。いきなりの反撃で彼はよろめいて床に倒れこむ。 「てめえ、ふざけんな。飼い主に噛みついた犬は保健所送りで殺処分なんだよ!」 「上等よ、やれるもんならやってみなさいよ!」 「この野良犬が。躾が全部無駄だな。死ぬまでお仕置きだ」 彼は私の髪の毛をひっつかんで階段を昇っていく。ゴト、ドカッという音に耳も貸さずに重たいずた袋でも無造作に運ぶように寝室のベッドに私を放り投げる。必死の覚悟で大暴れしても所詮女の力で適うわけもない。いつもより強い力で殴られて今日は電話を無視して怒らせたから、膝蹴りがお腹に何度も入る。膝蹴りに飽きると私が逃げ出さないようにガラスの灰皿で手のひらと足の指先を必要に殴りつけてくる。立ち上がろうにも、這って逃げるために指先に力を込めようにも、ガラスの灰皿でメキャ、ボキッと指先の骨が折れるまで執拗に殴られた。     
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