決行※

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指だけならまだ動ける…。私が戦車のキャタピラのように胴体でズリズリ這おうとすると、背後から腰骨が砕けそうなほど、ガラスの灰皿で殴られた。逃げることを諦めると、彼はお気に入りの金庫の中から手錠と足枷、猿轡、縄と鞭を取り出して私を縛り上げて、いつもより力を込めて打ち据えた。顔だけは鞭打ちしなかった彼が今日は顔を、特に目や唇を執拗に狙ってくる。私が猿轡越しに呻き声を上げると、さらにヒートアップしていく。ベッドサイドにあったシャンデリアの光度調節用のリモコンを私の太腿と太腿の間の溝に押し込んでくる。こんなもので喜ぶわけがないのに、一人で興奮して彼はスラックスのベルトをシュルシュルと外して鞭からベルトに持ち替える。 「ほら、リモコン入れてやるから、シャンデリアを光らせて見ろよ。ぶつとお前は気持ちよさそうに、よく締まるから電気くらいつけられるだろ。ほら、締め上げて電気つけろってば」 両目のまぶたに鞭より太い痛みの衝撃が走る。ぶたれて体が痛めば、反射的に体の筋肉のあちこちが萎縮する。それを快感によるものだと勘違いするなんて、なんて歪んだ醜い男なんだろう。何がこの人をそこまでの暴力に走らせるのか、血が滲む唇を噛み締めて私はぼんやりと考えた。 リモコンが一向に反応しないことに苛立った彼は、ドレッサーから私の乳液を取り出して荒々しく私の太腿と太腿の間の溝に塗りつける。 「真っ白で出したときみたいだな。こんなものを使わないと潤まないなんて、不良品。返品しないでやってやるだけありがたく思えよ」     
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