脱出

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リーダーらしき男性は深くうなずいて、今では珍しくなったガラケーに似たPHSを手に取る。病院とやり取りした後、私は公立病院に運ばれることになった。 横たわった状態でもものすごい速度を感じる。救急車って結構飛ばすものなんだと妙なところに気を取られている間にあっという間に病院についたらしい。ストレッチャーごと滑走している。救急隊から病院の看護師にテキパキと申し送りが行われて、いっせいのせとでも言うような勢いでストレッチャーからベッドにトランスされた。流石プロ、見事な息の合わせ方。髪の毛が寝癖だらけの当直医師が現れて、眠たそうに診察が始まる。 「あー、折れてますね、足」 いやさ、足とか言うの?もっと専門用語バリバリで来るのかと思っていたらかなり緩い感じの先生で拍子抜けする。レントゲンやMRIなどの検査があって訳アリで身元引き受け人がいないので結局入院という形になった。 いつの間にか疲れで眠っていたら、 「おはようございます、検温と血圧ですよー」 看護師さんの声で起こされた。入院になったものの、これからどうしていいやらと思いながら四人部屋で考えあぐねているうちに朝ごはん、ご飯の後に薄いグリーンの白衣を来た女性がやって来た。ネームプレートに医療ソーシャルワーカーと肩書きが入っている。     
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