脱出

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「おはようございます、大原さん。今から少しお時間頂きたいのですが、気分が悪くなったりしたらすぐ言ってくださいね。無理せず出来るところまでお話をしたいと思っています。」 「はい。色々お手数お掛けしてすみません。」 「いえいえ。まず、今回は入院という形を取りましたが、外科的な意味では退院できる状態なのでこれから先の行き先についてなのですが、この病院から紹介できるのはシェルターか精神科単科の病院ということになります。この病院では精神科の病棟がないので。シェルターは民間です。ただ、相当精神的なお疲れが見えるようなので厚木先生としては入院が出来る精神科の病院に転院した方がいいという考えなのですがいかがですか?」 「私、そんなにメンタル来てますか?やっぱり?」 「厚木先生が相当心配されていましたよ。交通事故の怪我よりも打撲の跡が酷くて、このまま退院させられないって。厚木先生はのんびりしているようで鋭い先生ですから。」 「あんな寝癖だらけなのにすごい観察眼ですね」 「確かに当直のときの寝癖はみんな笑い堪えてますけどね。転院先も様々な事情を抱えている方が多いですから大原さんは何も心配は要りませんよ」 「そうですね。シェルターってよくわからないし、精神科といわれると抵抗はあるけど、病院の方が分かりやすいからそれでお願いいたします。」
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