名医

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名医

たった二泊で違う病院に移る。病院から病院へは救急車のようで救急車と違う移送専用車で移動した。タクシーという訳にいかないところが、これから行く病院の特殊さを物語っているのだろうか。 着いた先の病院は郊外のさらに外れにあって、いかにも二束三文で買った余った土地に作りました感がありありな立地だった。書類の手続きと平行して、持ち物について独特な決まりがあるので、預り証が発行された。基礎化粧品一式を預られてしまって困ってしまう。看護師さんが、 「ガラス瓶はダメなんです。プラスチックなら大丈夫だから売店で化粧水とかは買い直してくださいね」 まあ、決まりならしょうがないと思いつつ、着替えを詰めたバッグからブラジャーを取られて枚数を数えられて泡を食った。 「ちょ、看護師さん。下着漁りはいくらなんでも辞めてくださいって」 「すみませんね。ガラス瓶は破片で自傷する人がいるし、ブラジャーで首吊った人もいるからダメなの~。」     
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