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「可能性は低いですが、ゼロではありません。ただ、大原さんのご主人が自分でその暴力的な言動を改めるために自主的に専門家の力を借りることが出来るかどうか。それが鍵になります」
「つまり、先生のような精神科医の力を主人が自主的に頼る必要があるということですか」
「そうです。精神科医、臨床心理士などに心を開いて自分にある問題を解決しようという強い意志が必要です」
「もし、主人が先生を頼ったら先生は主人も診察してくださいますか」
「いえ、私では無理です。私が大原さんと大原さんのご主人両方の主治医になるということは治療の都合上好ましくありません。医師というものは自分の担当する患者の回復のためにあらゆる手段を用います。投薬、精神療法、社会資源の活用のために医療分野以外の専門職との連携など。対立している夫婦の両方を一人で診察するとなると、いいことはあまりありません。例えば、夫婦どちらかから自分に不利な治療をされているのではないかと疑念を持たれたりしたら信頼関係が築けません。もし大原さんのご主人が精神科医の診察を受けたいがどの医師の診察を受けたらいいかわからないというなら、私の先輩を紹介したいです。医局の先輩なら話も通しやすいですし問題や課題を共有しつつも、お互いに自分の担当する患者の治療を第一に考えられますから」
「なるほど。問題は夫に治療する気があるかどうかですね。」
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