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この日の玲香様は焦っていた。いつも6時半にアラームを合わせていて、なったと同時に寸分違わず起床する玲香様だが、それはアラームが鳴らなければ起きないということでもあった。時計の電池がちょうど今日なくなってしまったのだ! 玲香様は眠り続ける。それでも普段の習慣からかなんとか起きるも、その時の時刻は7時12分! 急いで準備しても間に合うかどうか、というところだ。担任の先生は厳しい人だから、遅刻をすればひどく怒られるだろう。玲香様は慌てて準備を始めた。
急いで家を出る。玲香様はこの日初めて7時27分の電車を利用した。ちょうど駅に入ったところで流れるように乗り込む。
7時56分、学校前の駅についた玲香様は周りの目を気にせず、学校まで走った。行儀が悪いと思われそうだが、ここで大事なのは周辺の人々の自分に対する印象などではなく、定刻までに学校につくことだ。こういった優先度を玲香様はよく分かっている。と言っても、周囲から浴びせられる奇異の視線には思うところがあったのか恥ずかしそうではあったが。
校門をくぐり、まるで倍速再生でもしているかのように玄関から教室へと向かう。8時までに教室に入らないと遅刻となるのだ。音をできるだけ立てないよう早足で廊下を進んでいき――
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