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その日の深夜。
いつものように水晶玉を撫でてからベッドに入り、電気を消した。眠ろうと目を瞑ったが、瞼に光を感じて目を開けた。光のほうに目をやると、ベッド横に置いた水晶玉が、暗闇で青白く光っている。それは今までにない、はっきりと熱を帯びた光だ。
「なんなの? 一体どうしたの?」
次の瞬間、水晶玉は部屋中を照らさんばかりの光を発した。その眩しさに顔をそらした。途端、メッセージが脳内に響いた。
――己の分身を探し、こちらに来なさい。
お告げとともに光は消えた。恐怖で膝がガクガクと震え、こめかみから冷や汗が流れた。
分身って……、こちらって……なに?
あの日以来、ずっと避けてきた。自分自身に起こったことが恐ろしすぎて、考えないようにしてきた。
私は、どうして、こんな姿になったのだ。どうして先生の後を継ぐことになったのだ。
『あなたの内に、私の分身が見えるのです』
ふいに、先生の声が脳裏に響いた。
そもそも、どうして先生は私に「占い師になれ」などと言ったのだ。
「まさか……」
先生も分身を探していた……?
それが……私?
まさか、私は死ぬの?
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