第3章 最近家に来る、気に食わない人

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そんなこと言っても返してなんてやらないよ) 少し遊んでやれと思い、部屋中を走り回る。拓馬は必死に僕を捕まえようとするが、それを華麗にかわす。 「もう何やっているの、拓馬?」 完成したハンバーグがのった皿をもって、リビングに亜美がきた。 「い、いや…ただ、シロと遊んでいただけで…」 苦笑いをしながら、拓馬はごまかす。 (この箱のことを隠そうとしている?…もしかして、亜美には見せられないものなのかな?なるほど) 僕は亜美の足元まで来て、くわえていた箱を置いた。 「ワン」 「…シロ?何?その箱は」 「あっ!それは」 拓馬の焦った表情に、僕はほくそ笑んだ。 (これで拓馬は亜美に嫌われて、亜美との生活を邪魔されないぞ!) 亜美は箱を手に取り、ゆっくり開けた。その中を見て、亜美はびっくりした表情で固まった。 「拓馬…これって」 亜美は箱から何かを取り出した。箱の中身は指輪だった。 「ごめん。本当はもっとちゃんと渡せればよかったんだけど」 拓馬は亜美に近づき、亜美の手から指輪を抜き取る。指輪を亜美の左手の薬指にはめた。 「亜美ちゃん、僕と結婚してください」 真剣なまなざしで見つめる拓馬に亜美は瞳から涙が流れた。 「え!亜美?」 急に泣き出した亜美に驚いて、拓馬はうろたえた。 (え!拓馬、よくも亜美を泣かしたな!) 僕は拓馬に吠えて、威嚇をした。 「ウゥ――――ワンワン!」 「うわ!シロ、やめろ」 「あはははは」 シロに吠えられて、ますます混乱した拓馬の姿を見て、亜美は大きな声で笑った。
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