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「また殺人事件だって…… ほんと最近多いよね」
果穂は俺の横に座り、目の前に置いてあるテーブルの前に足を置いてそう言った。
時刻は午後五時を指していてちょうど夕方のニュースが放送されていた。
ボロいアパートの二階。ここで俺と果穂は生活を共にしている。
部屋は俺達が座っている二人掛けの小さなソファ、そして目の前に置いてある友人から貰ったテーブル。その前に小さなテレビが置いてあるだけのボロくて狭い部屋だ。キッチンはあるが寝室はない。今いるこの部屋で俺はソファで寝て、果穂は布団を敷いて寝ている。
要するに金が無いのだ。俺はフリーライターとして活動しているが全く芽が出ない。主に殺人事件などを調べて記事にし、出版社に持ち込んでいるのだが全く相手にしてもらえない。
「確かに多いな」
俺は焦っていた。もう今年で三十歳になる。果穂は俺より五つ年下の二十五歳。
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