愚痴は言えても

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恋なんて、両思いじゃないと楽しくない。 でも、みんな恋人ができると、 「付き合う前の方が楽しかった」 「付き合ってても楽しくない」 なんてばかり。 じゃあ、片思いはどうなの? 「あやちゃーん」 「はーい! なんですか、黒川さん」 「これ、倉庫から看板もってきてくれない?」 「……もーしょーがないですねー」 「よろしくー」 黒川さんはそう言って、手を振った。 私は、小さくため息をついて、お店を出る。冷房で涼しくなった店の外は、夏の日差しでとにかく暑い。 倉庫のドアを開けると、密室でムワッとした空気に顔が歪む。 「ちっ、自分がやりたくないことだけ人任せしやがって……」 ってか、黒川先輩と私が入った期間、2週間しか変わんないんですけど。 年も1つしか変わらないのに、どうしてあんな先輩面してんだろ。 しかも、あやちゃん呼びとか超きもいんですけど。 「あー、ほんとむかつく」 「ぷっ」 ……ん? 私は恐る恐る、後ろを振り返る。 すると。 「なーにがむかつくの? 立川ちゃん」 「……べつに」
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