愚痴は言えても

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「べつにってなんだよー」 「か、河合先輩はなんでここに……」 「んー? サボリー」 ニヤニヤしながらそう言って、先輩は倉庫の壁に寄りかかる。 「いやーあついねー」 「……こんな暑い場所でサボりっすか」 「こんな暑い場所で、サボろうなんて思うバカ、いないと思うだろ?」 「……」 つまり先輩はバカってことですか? そんなことは言えるわけがなく。 ただ心臓の音が早くなり、汗もいつも以上に出てきて。 ああ、もう……心の準備が。 ──言えるわけがない。 私の、気になる人に。
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