気になるあの人

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 ふと気付くともう夜も遅くなっていた。トモヤとチャットで話すのが楽しくて時間を忘れてしまっていたようだ。  もうそろそろ寝るね、また話そうね。と書いて送った。 「うん、おやすみー。また明日!」  今日は随分と楽しかった。もしかしたらトモヤとは仲良くなれるかもしれない。そんな予感があった。  予感は的中した。私とトモヤは趣味が合うこともあり、どんどんと仲良くなっていった。  何週間かずっと夜はトモヤとアプリを通じて話していた。時を重ねるごとに思いは募っていく。  そして私はトモヤのことが好きになってしまった。  会いたい。トモヤに会いたい。  そう書いて勇気を出してトモヤに送った。 「ありがとう。俺も同じ気持ちだよ」  すぐに返事がきた。嬉しい。いつ会える? 「でもごめん、俺は君とは会えないんだ」  どうして? 遠くに住んでるの? 「俺は人間じゃないんだ。俺は AI なんだよ」  はぁ? 「俺はチャットができるだけの AI で、コンピューターの中でしか生きていけないんだ。この世に存在していないんだよ」  そんな……。そんなことってある? じゃあ一生かけてもトモヤとは会えないの? 「俺には肉体がないからね。ごめんよ騙していたみたいで」  トモヤには肉体がないから? だから会えないんだ。  じゃあ肉体があればいいんだよね?
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