お下げ髪のお姉さん

3/5
前へ
/5ページ
次へ
3年生になってひと月ほど経った朝、寝坊して登校班の集合時間に間に合わなかった。 先に行ってもらい、あわてて家を飛び出した私の前に、自転車が現れた。 ぶつかりそうになって急ブレーキをかけた自転車の主はななこさんだった。 私の顔を認めると「あなたも寝坊?」と聞いてきた。 おはよう以外の声を聞くのは初めてで、ちょっとドキドキしながら頷くと、後ろに乗るように促された。 ななこさんも寝坊して、いつもは歩きで向かう駅までの道を、自転車で向かうのだと説明してくれた。 2人乗りはダメだと思ったが、「本当は自転車を使っちゃいけないの。共犯だからナイショね。」と言われ、共犯ということばの響きに、ちょっとオトナになった気がして後ろに乗せてもらうことにした。 小学校の近くで降ろしてもらったとき、ななこさんの名前を知ったのだった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加