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中学生になると熱はさらに加速する事になる。
浅島潤が載っている雑誌を買い集め、ネット記事をお気に入りに入れて保存した。
浅島潤は基本は舞台俳優で、劇団で活躍するかたわら、映画やテレビドラマにも出ていると知り、ますます好きになった。
演技論。俳優としてのポリシー。
浅島潤を通して知ることの全てが、新鮮で、魅力的だった。
高校、短大と進学して、環境が変わって、身近な男性と付き合ったりしても、心の根元には浅島潤がいた。
バイト代のほとんどはチケット代に消えた。
高校二年、初めて舞台を見に行った時の、あの衝撃は忘れない。
浅島潤がナマでいる。画面越しじゃない、おんなじ空間にいる。
彼の足音が響き、彼の声が直接耳に届く。
その事実に夢中になった。
ある時、たまたま前の方の良席のチケットが取れた。
公演前夜からドキドキして眠れなかった。
きっとこんなに良席なら素敵なことが起こるに違いない!
根拠もなくわくわくして出かけた私の予感は当たり、なんと、公演中ばっちりと目が合ってしまった。
ぎゅん。
心臓が縮こまる音がした。
長年の恋が叶った、と。
そんな気がした。
……眠りから覚めると、現実に引き戻された。
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