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現実には浅島潤は一般女性と結婚していた。
心は完全に「浅島潤、結婚」という事実に持っていかれていたが、そのかたわらで会社から帰り、ご飯を食べて、お風呂に入ってベッドで寝たらしい。
なにそれ。
習慣って怖い。
目は覚めたけど起き上がる気になれなくて、私はしばらくベッドの上でゴロゴロした。時計は3時半。まだ出勤まで時間がある。
ちなみにもしかしたら結婚したのが夢なんじゃないかとスマートフォンでニュースサイトを開いてみたけど、願いむなしく、ちゃんと結婚報道が載っていました。潤ロスという言葉と共に。
ロスかー。
私、ロスってんだなー。
惰性でSNSを開く。
タイムラインのトップに、フォロワーの投稿がある。
『昨日からruiさんの投稿がない…心配…』
と。
やば。
ruiは私のアカウント名だけど、そういえば、結婚報道が出てからタイムラインを追うだけでいいねも何もしていない。自分から投稿するのももちろんしていない。
しかし、フォロワーさんに心配されてる……。
ここは一応無事です的な投稿をしなければ……。
けれど。
投稿フォームを開いてはみたものの、文章は何も思い浮かばない。
ちかちかと、カーソルが無意味に点滅する。
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