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物置小屋。 そこが僕の寝床だ。 あるのは、壊れた窓、鍵がかけられた扉、敷き詰められたたくさんのガタクタのような家具だ。 電気はなく、窓から差し込む光だけが部屋を照らしていた。 家具の隙間からは絶え間なくホコリが出てくる。 僕は咳き込み、口を押さえる。 咳は止まらない。 咳のせいで、背中のアザが痛い。 ――ボーンボーン。 0時を告げるように、古時計が鳴った。 「0時だ…」  すすだらけの汚れた布団の上で、僕は窓を見つめた。 棚と棚の隙間にある小さな小さな窓から見える綺麗な月。 今日は不思議と赤く見えた。 「翼くん!」 時計の音を合図のように窓からひょっこり顔を出す少女。 同じくらいの年齢の少女だ。 雪のように真っ白な綺麗な肌によく似合う白いワンピース。 月光でオーシャンブルーに輝く瞳。 金髪のサラサラした髪の毛には白い羽のバレッタがついている。 外国人のような見た目なのに日本語がペラペラだ。 西洋人形のような容姿を持つ彼女は天使と言っても皆が納得するだろう美しさだった。 昔絵本で読んだ天使そのものだ。 「サラ!今日も来てくれたんだね!」   「うん!ご両親は大丈夫…?」 サラちゃんは物置小屋をキョロキョロと見渡すと、心配そうな顔をした。     
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