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僕は笑顔で首を縦にふった。 僕の父は、僕のことが嫌いなようで10歳の僕を物置小屋に閉じ込めていた。 どうも僕は秘密に産んだコセキのない子供らしい。 嫌なほど聞かされた言葉だ。 コセキがないと普通には暮らせないらしい。 イラつくことがあると、僕を殴ったり蹴ったりする。 その日の夜は体中が痛くて眠れない。 母の方は、一応僕のことが心配らしいが、気が弱いので僕を助けようとはしない。 することと言えば、1日2食のご飯を運ぶことと、謝罪だ。 事あるごとに 「ごめんねごめんね…」 と呪文のように呟きながら、僕を抱き締める。 そんなのいらないから…助けて欲しい。 そう願っていて、最近現れたのがサラだった。 窓から現れたときはビックリして、後ろ向きにすすまみれの布団にダイブしてしまった。 でも優しく微笑む彼女の笑顔に引き込まれていった。 物置小屋から出れない僕と"夜の間"、0時を過ぎて朝の4時まではお喋りをしてくれる。 4時になると、窓から見える森のなかに消えていく。 いつのまにか毎晩の日課になっていた。 今日も小さなイスに座って彼女と何てことないお喋りをしよう。 「翼くん、今日は外に出ない?」 僕にかけられたのは思いがけない言葉だった。     
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