2人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は笑顔で首を縦にふった。
僕の父は、僕のことが嫌いなようで10歳の僕を物置小屋に閉じ込めていた。
どうも僕は秘密に産んだコセキのない子供らしい。
嫌なほど聞かされた言葉だ。
コセキがないと普通には暮らせないらしい。
イラつくことがあると、僕を殴ったり蹴ったりする。
その日の夜は体中が痛くて眠れない。
母の方は、一応僕のことが心配らしいが、気が弱いので僕を助けようとはしない。
することと言えば、1日2食のご飯を運ぶことと、謝罪だ。
事あるごとに
「ごめんねごめんね…」
と呪文のように呟きながら、僕を抱き締める。
そんなのいらないから…助けて欲しい。
そう願っていて、最近現れたのがサラだった。
窓から現れたときはビックリして、後ろ向きにすすまみれの布団にダイブしてしまった。
でも優しく微笑む彼女の笑顔に引き込まれていった。
物置小屋から出れない僕と"夜の間"、0時を過ぎて朝の4時まではお喋りをしてくれる。
4時になると、窓から見える森のなかに消えていく。
いつのまにか毎晩の日課になっていた。
今日も小さなイスに座って彼女と何てことないお喋りをしよう。
「翼くん、今日は外に出ない?」
僕にかけられたのは思いがけない言葉だった。
最初のコメントを投稿しよう!