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「そんなのできないよ、僕…出れないから」
ジャラっと鳴る、足についたごっつい足枷を指しながら言う。
足枷は太い鎖に繋がれていて、柱に結ばれていた。
子供の力じゃあ外すことなどできない。
僕は外に出ることすら許されない。
「大丈夫、私が出してあげる。」
「そんなことできるはずが…」
僕が言いかけた時、さっきまで吹いてなかった強い風が吹いた。
その強風に思わず目を細めた。
バン!っと言う強い音が聞こえ、細めた目で前を懸命に見た。
窓が開いた音だった。
窓の向こうでは、僕に微笑みながら手を差し出すサラ。
僕はその手に添えようと手を伸ばすが、そのまま手を引っ込めた。
「僕は…足かせがあるから…」__ガチャン。
音がした足元を見ると、足枷が外れていた。
いや、外れたと言うよりは壊れたという方が正しいかな。
まるで錆びて壊れたように…風化したように崩れた足枷。
足が軽い!
僕は部屋を駆け回って、跳び跳ねて、目を輝かせた。
「行こう、翼くん。」
再び差し出された手を今度は強く握った。
もう離さないように強く握ったんだ。
僕は引き寄せられるように、窓枠を蹴って飛び出した。
裸足を包み込む柔らかい芝生。
綺麗に透き通った空気。
どこまでも行ける体。
隣で微笑むサラ。
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