0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
ふと、自分が世界から忘れら去られているのではないか、と思うときがある。
あくせく働き、くたびれ果てて安酒を煽って眠り、また起きて働く。
限られた休日も、趣味という趣味があるわけでもなく、ただ携帯の画面を指を動かし続けて貴重なはずの時間をやり過ごす。
いつからこうだったのか。
いつまでこうなのか。
終焉へと向かう予感にじめじめとした焦燥を感じつつも、生き急ぐ己を顧みる気力すらなく。
明日を具体化できないまま、ひたすらに日々を重ねてきた結果、自分が何者であるかなどという感情は、重すぎてどこかに置き去りにしたらしい。
ー明日は来るものじゃない。自分で創るものだよ
記憶の断片に燻る言の葉。
自分が思うよりずっとずっと幼い精神しか持たなかった頃の。
遠い時間を揺蕩う掴みどころのない少女の影。
最初のコメントを投稿しよう!