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プロローグ
深い森の奥。
小川のほとりで、小さい女の子が蛍の群れを見て驚いている。
「うわぁ、すごい。きれい」
そこに黒い帽子に黒い服、黒いマントを羽織った白髪のお婆さんが通りがかった。
「お嬢ちゃん。蛍が好きなのか?」
「うん」
女の子は笑顔で答えた。
「そうかい、そうかい。私も大好きなんだよ。一緒だね」
二人で蛍の群れを少しの間眺めていた。
辺りは真っ暗になり、虫たちが一斉に鳴き出した頃、お婆さんが女の子に一冊の本を差し出した。
「これ、なあに?」
「本さ。あんたにあげるよ。楽しい時間をありがとう」
「うん、ありがとう」
お婆さんは、女の子に本を手渡すと、さっと消えていなくなった。
「お婆さん……?」
女の子が辺りを見渡してお婆さんを探したけれど、もうどこにもいなかった。
女の子の持っている本は、ピンク色をした本だった。
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