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第1章
リビングでブルーのソファーに寝そべり、テレビを見ている喜多智輝の肩を宮崎莉那が叩き、にこりと微笑んだ。
「このイヤリング、誰の?」
「え?」
莉那は紫色の石が付いたイヤリングを、智輝の目の前にちらつかせた。
「知らないよ。そんなの俺が知るわけないじゃん」
「智輝が知らなかったら誰が知っているのよ。私のじゃないんだから」
「どうして俺が知ってるって決めつけるんだよ。本当に知らないって」
むすっとした顔をして、智輝は立ち上がった。
「このイヤリング、何処にあったと思う?ベッドの下よ。どうして誰のか分からないイヤリングがあんな所に落ちているのよ」
「しつこいな。本当に知らないよ」
智輝は怒り口調でそう言って、家から出ていった。
「嘘つき。最低な奴。何回やれば気が済むのよ。もう本当に限界」
莉那はイヤリングをゴミ箱に投げ捨てた。
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