番外編『少年王子・九条くんの事件簿』③

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あぁっ…またクラスが…。 佐藤が唇を噛み締めた時だった。 「うるせぇ、音痴」 教室に声が響いた。 メチャクチャ歌っている摩波呂よりも、大きな声が。 え? 佐藤は驚いて、ピアノを弾く手を止めた。 だだだだだだだ、誰?今の誰が言ったの? クラス全体がシンッとなった。 その視線の先には、九条一臣がいた。 「なんだとーっ!!?」 摩波呂が顔を赤くして一臣を睨んだ。 怒りに拳を握り、一臣に近づいた。 顔が近い。 「音痴は歌うな。先生のピアノが聴こえねぇし、皆の耳が腐る」 摩波呂に聴こえる程度の声で、しれっと言ってのける。 「く、く、九条~ッ!!」 とうとう摩波呂が怒りを爆発させた。
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