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そしてもう一つ奇妙な事。
起きた瞬間から猛烈な喉の渇きと異常な空腹に襲われる。
特に絶食してるとかではない。普通に毎日三食食べている。にもかかわらず、私は何日も飲み食いしなかった人のように何かを欲していた。
目に見えて説明できるものではないが、私には確信があった。
これは夢の中の紙芝居で突きつけられた過去の一つだと。そして私は思う。二度と思い出したくないこの感覚。
とりあえず図書室を出ることにした。
そして館内の自動販売機で500MLのミネラルウォーターを1本買ってその場で飲み干した。喉の渇きは幾分かマシになった気がする。しかしまだまだ水分は足りないし、勿論空腹も収まらない。よって私はすぐさまその場でフルーツジュースを購入し、再びゴクゴクと飲み干した。
正直焼け石に水のような状態であるも、精神的には少し落ち着いた。だがまだまだ足りない。私はその足で少しはなれたコンビニへと向かい、弁当を2つと2Lのお茶を1本買って公園へと移動する。しかしあれほど喉の渇きと空腹を覚えた体は両手にぶら下げる袋の重さが段々と体に負荷をかけるにつれて、徐々に消えていったのである。
そして公園へとついた頃、私は食欲を一切なくしていた。
ベンチに座り一人で飲み食いするには多すぎる量を見て思う。
「ああ、食べれるというのは幸せだ」と。
「食べれるから悩み、食べれるから考え、その他欲求が生まれる」と。
図書室で教わった事。
なぜあの図書室だったのかわからない。
しかしあの図書室だからこそであり、そしてあの図書室の意思が教えてくれた。理屈ではなく私は確信したのであった。
【了】
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