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次に隣の本棚に移動する。 こちらの本棚は文豪の全集以上に丁寧な装飾が施された背表紙が綺麗に収められている。 「○○家の系譜」「○○の歴史」「○○地方郷土史」などこの土地に関する資料や本である。これは全く興味がいないのでさっと一瞥してそのまま下段に視線を落とす。 下段には中国語と思しき背表紙の本がずらりと並んでいた。勿論一切他国の言語は知らない。よってこちらも背表紙をゆっくり改める事もなく視線を逸らした。 他の本棚にはパーソナルコンピューターに関する古今東西の雑誌や本が多数収められていた。 それらの雑誌も虫食い感のあるような雑誌からその月の最新号まで実に様々な雑誌が揃っている。 どうやらここにある大半の新し目の本は建物の蔵書、残り古い本は寄贈品ではないかと思われる。何故なら郷土史類の最後に筆記体で署名がしてあり、それらの本棚には小さな青丸のシールが貼られていた。ところどころ、特に古い本の棚にそのシールが貼られているからだ。 一体誰の蔵書であろう。 この建物や土地と縁や縁のある人間だろうか。 しかし仮に名前がわかったとところでよそ者の私には関係ない。
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