百万年たっても君を忘れられない

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◆◆◆  微睡みから覚め、辺りを見渡すと自室だった。時刻は四時十五分。まだ夜は明けておらず、窓を開けると空には月が淡く輝いていた。 「……あれ?」  不思議と覚えのない夜を思いだし、何故か私の頬を涙が伝っていった。なぜだか悲しく、がらにもなく声をあげてないた。  それが何故かわからないが、たまらなく悲しいことだけがわかった。涙が私の頬から滑り降り、ぽつりぽつりと床に水跡をを残していく。まるで地にふる流星雨のようだった。  開けた窓から銀の橋が伸びてきた。ふわりと鼻孔に桃のような甘く優しい薫りが刺さった。記憶にない誰かに抱き締められている気がする。  自分の声で、自分ではない誰かが声をあげた。 「百万年たっても君忘れなかった」  しばらく嗚咽をあげ、床を濡らした。
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