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本当にくだらないけれど、少しずつ薄れていく気持ちを感じたのか、神威の口の端も緩んでいく。
門前町にあるいくつかの石の鳥居をくぐると、店はなくなり牛の銅像が見えた。
「あ、牛」
「一緒に写真でも撮ってやろうか?」
「……馬鹿にしてるでしょ?」
そこには人が並び、写真を撮ったり思い思いの場所をなでてる。
「別に。並ばないなら行くぞ」
そして3つの橋を渡り、楼門をくぐると本殿は目の前だ。因みに、神社には橋がよくある。あれはこの世と神の領域との境界とされている。だから、渡ればそこは神の領域なのだ。
「言っとくけど、本気でお願い事なんてすんなよ?」
「え? あ、しないしっ! ってか、神威が頼めって言っただけで、私は別にっ」
「……ならいいけど」
もうすでに観光気分だった自分に反省しながら、お参りもすませる。
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