迷子とか迷子じゃないとか。

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「とりあえず、那智さんが来るまでは居る」 「……ふーん」 「だって、神威も千代ちゃんと二人きりになったら困るでしょう?」  そう言うと神威も少し考えて、「なら、好きにすれば?」と反対もしなかった。  ベッドの上、千代の寝顔はあの広告とは全然違って、なんとも微笑ましい。  そういえば、と世莉は思い出した。千代が言っていたのは、なんの事だったんだろう? 「ねぇ、神威」 「あぁ?」 「千代ちゃんの言ってた、神威が持ってる怖いものって──」  そう聞いた瞬間、空気が変わった気がして世莉はそれ以上言えずにいると、「あぁ……」と神威の声が漏れる。 「式の事だろ?」  そう言って見せたのは、「一葉」と書かれた紙切れだ。
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