迷子とか迷子じゃないとか。

28/42
前へ
/388ページ
次へ
「従兄弟? 初耳だな」 「そうだね、話したことは無いし、これからも無いことを願いたかったよ……」  意味深な那智の言葉に、神威は眉間にシワを寄せる。 「でもそうか、彼が居るなら僕は潜入出来ないなぁ」  けれど、そう言っていつもの調子で話すものだから、それ以上追求するのを止めてしまった。 「ってか、細川のオッサンにやらせりゃいいだろ?」 「うーん、ただの窃盗事件ならそれでもいいんだけど、欠片を剥がされた鏡だけを返されても、細川さんじゃ分かんないでしょう?」  二人の会話に世莉も千代も、視線が右左に動くだけ。 「……お前の従兄弟って、欠片が分かんの?」  そんな神威の質問に、那智は苦笑いだ。 「僕と同じ力があると思っていい」  そして返される答えに、神威も渋い表情を見せた。
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2237人が本棚に入れています
本棚に追加