迷子とか迷子じゃないとか。

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 勢いよく返事をする千代に、那智は下手なお芝居のように「あぁ! でも……」と項垂れた。 「お鏡様の場所が、僕たちにはわからないよ……」 「あたし知っとうよ!」 「そう! 良かった! ならそれを世莉ちゃんに教えてあげて。そうすれば僕たちが取りに行くことだって出来るから。出来そう?」 「うん!」とうなずく千代に対し、世莉のほうが「え? ちょっ!」と慌てて声を上げた。 「私、そんなどうすれば!?」 「大丈夫、2重に術をかけて簡単にはバレないようにするから。ちょっとじっとして?」  そういうと那智は世莉の額に指をあてて、ほんの少し力を込めた。  すると指先から熱いものが流れ込んで、体中を駆け巡るのが分かった。
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