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「すみません、わたくし、八千代の会のものですが、そちらにうちの高橋千代が保護されたと聞いたのですが」
「──っ」
聞こえてくる予想通りの言葉に、思わず世莉は千代を見るのだけど、千代も世莉のシャツを掴んでじっとドアを睨んでる。
「……千代ちゃん、どうする?」
勿論、ドアの向こうには聞こえない声で聞くと、千代は世莉を見上げた。
「ナタク……」
「え?」
「多分、逃げられんばい。でも大丈夫っ! 世莉姉ちゃんはあたしが守る」
「千代ちゃん……」
そう言いながらも、しがみつく手にぎゅっと力を入れるから、世莉もその小さな体をそっと抱きしめた。
「ありがとう。……開けても大丈夫?」
そう言うと、千代は腕の中でコクンと頷いた。
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