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「行ったけど?」
ドアが閉まって数秒後、聞こえる声に那智の「はぁ」とため息を落とした。
「とっさに目くらましで誤魔化したけど、大丈夫だったみたいだね」
「探しに来たのが雑魚でよかったな」
そんな神威の言葉に、「まあね」と那智も苦笑いだ。
「それにしても世莉ちゃん、凄かったねぇ」
「あ?」
「ほら、とっさに神威を彼氏に仕立て上げて、しかも別れる寸前とは! 世利ちゃんって女優の素質あるよね?」
「阿呆か、それでこれからどうするんだ?」
「そうだね、とりあえずは近くに移動して、世利ちゃんからの連絡待ち、かな」
護符まで持たせたのだから大丈夫、だと思うのだが……。
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