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「できれば会いたくなかったな」
「なんか言ったか?」
「いや、なにも」と言って那智はカーテンの隙間から道路を見下ろした。もう彼らの姿形はなく、その気配も感じない。向かう場所も分かっているのだから、心配する必要はないのだけど……。
「少し、早まったかな?」
「ああ?」
「いや、なんでもないよ」
「……歳をくうと独り言が多くなるって、あれか」
「こっ、こらっ! 神威っ、また人を年寄り扱いしてっ!」
「年寄りだろうが。あのガキも『オジサン』って言ってたろ?」
「神威っ!!」
こうして、新たな事件が勃発した。
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