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「どうぞ」と言われ、千代と一緒に用意された車に乗り込んだ。
「世莉姉ちゃんは、あたしと一緒ばい!」
「はいはい、どうぞ」
あしらうようにそう言うと、ナタクは千代と世莉を後ろに乗せ、自身は助手席へ乗り込んだ。
「ところで、世莉というのはお名前の方で? あぁ、私の自己紹介もまだでしたね。私は藤原ナタクといいます」
「あ、私は久遠世莉、です」
彼の名前を予め聞いていたから、自己紹介される必要もなくスルーしていたが、確かにこちらが一方的に知っているのも変な話で、ナタクに話を合わせた。
「ふふ、そんな身構えなくても大丈夫ですよ。うちは普通の宗教法人ですから」
「はぁ……」
何をもって『普通の宗教法人』というのか。巷のニュースでは、狂信者による事件が時折流されるというのに。
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