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言えない。少なくもと、世莉には言えるはずなく、反論できなかった。そんな世莉の反応にナタクはニコリと笑い「分かってくれて良かった」と口にした。
確かに理解はしたのだけど、この胸のもやもやはなんだろうか?
「さあ、着いたよ。世莉ちゃん、君も今日はここに泊まるといい。彼氏から電話あったら僕が出ようか? ほら、そうすればキッパリが諦めて──」
「だっ、大丈夫ですっ!」
そう答える世莉に、ナタクは「そう? でも困ったら相談してね?」と微笑んだ。
人懐こく、面倒見のいいところは、那智にそっくりだ。だから騙されそうになるけど、シャツの裾をギュッと握る千代の手に、違うのだと世莉は自分に言い聞かせた。
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