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「若いのによく知ってるねぇ。祝詞が分かるなんて」
「あ、いえ……、祝詞くらいは聞いたことあるし」
「でも、知らないの? アマテラスはただの簒奪者だよ」
「え?」
驚く世莉に、それでもナタクは微笑んだままだ。
「聞きたい?」
ゾクッとする笑顔に、世莉は咄嗟に首を横に振った。
「いえっ、別に興味ないんで」
そう答えると、ナタクは「それは、残念」と、然程残念がることもなく廊下を歩いた。
天照大御神が簒奪者!? そんなこと聞いたこと──。
『国譲り』
けれどあれは、簒奪とは言えないだろうか? 天照大御神の血筋を引いているから、瓊瓊杵尊は大国主命に出雲の国を渡せと言った。
そう言えば、那智はそれに恨みを抱いている大国主命を、出雲大社に祀っていると説明していたはずだ。
なら、彼らが祀っている神様って──。
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